何事もそうだと思いますが、同じことを何度も繰り返していると『飽き』がきます。

いろんな場面で同じことが言えると思うのですが、
僕たちの仕事であるパフォーマンスでは『出演者側が飽きている』ことと『見る側が飽きていること』は必ずしも合致しない、ということが言えます。

今回はこちらを考えていきたいと思います。

飽きているのは僕たちだけなのでは?

冒頭で既に結論を書いてしまったのですが、
出演者にとっては既に飽き飽きしていることでも、実はお客さんにとっては新鮮である、ということが言える場面が多々あります。

というのも、そもそもが僕たちパフォーマーは『新しいこと(技)にチャレンジしたい!』と『それを見て欲しい(発表したい)!』という願望があります。

自分たちのスキルアップのために新たなチャレンジをする、ということはもちろん凄く大切なことなのですが、

実はステージ上に出すパフォーマンスは『新たなチャレンジ』ではなく『完成度の高いパフォーマンス』が求められると考えております。

飲食店で例えると、
もしかしたらめちゃくちゃ美味い料理が作れるかも!というチャレンジメニューを提供しているお店なんかは絶対に成功しないですよね。
繰り返し作った味の安定したメニューを出すことが飲食店としての当然のもてなしです。

もし料理人が「もうこの料理飽きたからアレンジするわ」という感じで、お客様の気持ちを考えず、しょっちゅう味の変更をしてしまうようでは、きっとそのお店はリピーターが付かず成り立ちません。

これはパフォーマンスでも、きっと同じことが言えて

チャレンジしたことによってステージ上でミスや事故が起こってしまった

たとえ小さなミスであったとしても、これを繰り返してしまった場合、お客様の目にはどう映るでしょうか?

『なんだか危なっかしいなぁ』
『完成度が低いなぁ』

という印象を持たれてしまう可能性が極めて高そうです。

飽きてからがクオリティを上げるチャンス

同じことの繰り返しによる『飽き』とうまく向き合うことが僕たちパフォーマーの大事な心得になりそうです。

ダンスでいうと、同じネタを何度もやることに必ず『飽き』がきますが、
実は余程有名なチームではない限り、お客さんの目線としては『いや、そのネタ見たことないよ?』なんです。

冷たい言い方をすると『僕たちの作品はそこまで世に出ていない』ということです。

せっかく作ったネタを数回の披露でやめてしまう、というのは実は非常に勿体なく、
出演者が側が『もう飽き飽きだよ!』という位が、実は作品としてのクオリティを上げる絶好のチャンスなんだと思います。

しかし、飽き飽きした作品と同時に、新たにチャレンジをしていくことはできます。

チャレンジした作品をステージに出すタイミングを見誤ってはいけません。
しっかり味の整った料理に仕上げてからメニューに加える』ということが大切だ、ということが言えます。

飽きと向き合う

では、どうすれば『飽き』がきてしまった作品に対し、モチベーションを高めて前向きに取り組むことができるでしょうか?

僕なりの結論は、クオリティの保証ができる範囲で少しづつ変更を加えていく(肉付けしていく)ことが最善なのではないかと考えています。

都内にも沢山のショーレストラン(ショーパブ)がありますが、
実は少しづつ、内容の変更(改善)が加えられているケースが多いです。

一見当たり前のように感じるかもしれませんが、それがパフォーマー(出演者側)にとっては物凄く大切なことで、

飽きがきてしまった内容を何度も何度も繰り返すということは『自分の成長が実感できない』ということであり、『』になります。

成長が実感できないということは、『時間を使いすぎてしまっている』という思考に繋がり、自分の成長できる場所を求めてそこを離れてしまう結果に繋がります。

劇場を創る上では、やはりお客様の見えない場所で、
常に新しい作品(技や動きや演出)の開発に力を注ぎ続けなければいけないのかもしれません。

これは当たり前のようで、実は凄く難しいことなのかもしれません。

何年、何十年も続けている一流の料理人が、今でも閉店後に新たな料理開発に力を注いでいる、みたいなもので、
パフォーマーやダンサーの鮮度というのはメンタル的にも、精神的にも、期限が早い業界といえます。

そこに負けず、続けていくことの難しさを理解した上で取り組んでいけるかどうかが
お客様をもてなすことも考えた一流の表現者(プレイヤー)マインドなのかもしれませんね。

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