舞台と映像の違いとは?生の魅力を追求

演劇やライブといった生の舞台と、映画やテレビなどの映像作品との違いは?と聞かれると、今も沢山の議論がネット上でも展開されていますよね。

調べれば調べるほど意見があって、時間を忘れてしまいます。。。笑
その中で面白い視点が幾つかあったので、僕なりの考えも含めて書いてみたいと思います。

舞台(生)の方がお客さんの想像力を引き出せている

映像作品であるドラマで例えてみます。

あるシーンでは家の中、次のシーンでは公園になり、また次のシーンでは学校になる、
このように映像作品では場面ごとに場所がしっかり変わります。

家の中にいる設定であればちゃんと『家の中』というセットを組んだ場所で撮影し、公園であれば公園でちゃんと撮影をするでしょう。

映像作品では『見た目でハッキリとその場所がどこなのか』を伝える必要があります。

ここまでは超当然の話ですが、、、

それでは、演劇(生)の舞台ではどうでしょうか。
各シーン毎に見た目でハッキリとその場所がどこなのか、を表現できているでしょうか。

答えはNOです。

学校のシーンであれば、せいぜい机や椅子を出す程度でしょうし、家のシーンであればコタツや座布団を置く程度です。

理由は、生の演劇では『シーンの切り替えによってお客さんの時間を奪ってしまいたくない』からです。
できるだけ演技(パフォーマンス)以外の時間をカットできるように工夫がされています。

必要最低限の『鍵となるアイテム』だけを用意し、転換の時間を最小限にし、あとは役者の表現力でカバーする、ということをしています。
(照明等を使って場面転換する場合も多くありますが)

ということは、
映像作品は少なくとも、今どこにいるのか?をイメージする必要はなさそうですが、
反対に生の舞台では、今どこにいるのか?その場がどんな空気なのか?をお客さん側が想像する必要が出てきます。

落語の世界で例えると極端で分かりやすいかもしれません。

落語のことは正直あまり詳しくないのですが、、、
ずっと同じ場所に座って一人で何役もこなし、シーンを変え、(想定される)今いる場所も作り変えることができています。

落語は空間の作り方を常に意識するそうで、
例えばお店の対話シーンで言えば

手を高く上げて「すみませーん!!」と声を張る = 広いお店
普通の声量で少し顔を横に向けて話す = カウンター席

といった感じように、仕草と声で『今いる場所の空間』を演出するそうです。

このように、生の舞台では『場所がビジュアルで分かるように作れていないおかげ』で、
結果、お客さん側の想像力を引き出していることが分かります。

『お客さんの想像力を引き出せている』ということは『集中させている』ということにも繋がります。

お客さん側からのメリットを考えると、
生の舞台は『ビジュアルで見えない部分を自分の経験から想像して楽しむことができる』という部分でしょうか。

映像作品では、ビジュアルがより現実の世界に近いクオリティなので『完成された作品が観れる』という感じでしょうか。

舞台は進化する

映像作品は、改良することができません。
世に出てしまった作品は、もう変更の余地がないのです。

アニメや映画でいうと分かりやすいかもしれません。
『記録したもの』が作品である以上、世に出した時点で「やっぱりここ変えます!」といった感じで、急に主人公の能力が変わったり、セリフが変わったり、ということは不可能だということです。

言い換えれば、映像作品は公開した時点で作者の手元から離れ『過去の作品』になると言えます。

反対に、『舞台は生き物』という表現をされる方がいますが、まさにその通りだと思います。

常に改善や変更を加えることができ、まさに舞台は『進化する生き物』のように例えられますね。
これが、生の舞台の面白みの1つだと言えるはずです。

映像作品の場合は、一度面白い作品を作ってしまえば、あとは失敗なく安定したクオリティでお客さんに届けられる、といった感じでしょうか。

舞台はお客さんの反応次第で変化する

これは舞台に立つ側の僕も実際に強く感じていることで、
確実にお客さんの反応次第でパフォーマンスは大きく変わります!

まさに生き物ですね!

意外に感じるかもしれませんが、ダンスで言えばお客さんの野次や、名前を呼んでくれたり、応援してくれたりすると、すごく自分の気持ちが上がります。

反対に、盛り上がって欲しいシーンにも関わらず、お客さんから淡々と観られてしまうと不安になってきたりもします。

「え!?ここで盛り上がるのか!」なんてことも良くあります。

きっとお笑いや芝居の世界でも沢山あると思います。
ウケて欲しいシーンでお客さんが笑ってくれたり、リアクションを感じる事ができた時に、演じる側の気持ちは確実に変わり、結果、表現に変化が現れます。

まさに会場の空気に合わせる、といった感じです。

言い換えれば、生の舞台は『その場のお客さんと一緒に作り上げていく空間』と言えます。
お客さんのリアクションはめちゃくちゃ大事なんです。
むしろ、それが全くダメなのであれば、生の醍醐味は半減してしまうかもしれません。

何度も書きますが、、、笑
映像作品に関しては、完成された作品なので、どんなにお客さんのリアクションが良くても、演じる側がそこにはいないので作品自体には何も変化がおきません。

舞台は『参加型』、映像は『提供型』とも言えるのかもしれませんね。

この『参加型』という特徴を生かして、更に面白い生き物としての舞台をこれからも追求していきたいと思います!

また、覗きに来てください!

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